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土壌づくりから販売まで 農園との強固なパートナーシップにより実現したトライアルファームプロジェクト(前編)

トライアルグループ広報
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トライアルグループの広報チーム

冬の果物の定番である”みかん”。秋ごろから全国各地で出荷が行われ始めるが、小売業が仕入れを行う手法として、いくつかのパターンがある。卸売市場での買い付けや、農家から直接届ける”産地直送”、特定の店舗に専属で卸を行う契約農家という形態を採用するなど様々あるが、今回紹介する「トライアルファーム」のプロジェクトではみかんを育てるフェーズからスーパーセンターが入り込むという異色な仕入れ方法だ。

トライアルファームのみかん「とことん土にこだわって作ったみかん」は、2023年9月に初めて店頭に並ぶ。そこで、商品化までの経緯についてトライアルの青果部門で開発責任者を担う丸山と、みかんの提携農園である宮将農園の宮本さんにお話を聞いた。

上:宮将農園 宮本さん夫妻 下:トライアル 丸山

■アパレル業界の概念を青果に

丸山「トライアルファームの取り組みは2020年に開始しました。これまでもフィリピンで栽培されたバナナや、国内で作られたキャベツや白菜・オクラなどが実際に店頭に並んでおり、徐々に品目と数量を増やしてきています。

トライアルファームはトライアルと生産者が一緒になって農作物を育て、収穫し、商品化を行い、販売するところまでを一貫して取り組むプロジェクトです。いわゆる産地直送品だと農家さんに育ててもらったものを企業が直接仕入れ販売するという流れなのですが、トライアルファームでは作物を育てるところから一緒に行っています。」

丸山「トライアルファームはSPAという事業モデルをベンチマークにしています。SPAは元々アパレル業界の用語で、商品の企画、製造、販売までの機能を全て一社で完結する形態を指しているのですが、それの青果版と考えてください。自社で全てを管轄することで余分なコストや無駄を効率的に省くことができ、また消費者や各製造工程で生まれるニーズも迅速に拾い上げることが可能になるのも大きなメリットです。」

宮本さん「トライアルさんとは共通の知り合いを通じて出会ったのですが、今回のプロジェクトでまず着手したのはみかんそのものというよりも”土の育成”でした。むしろ出会ってからこれまで一番時間をかけて取り組んできた分野かと思います。

最初はうちで育てている宮将みかんをそのまま販売してもらっていたのですが、全国規模で展開するトライアルさんで販売するにあたりひとつひとつのみかんの味をもっと安定させたいという思いから本格的に今回販売を行うみかんの共同開発がスタートしました。宮将農園では4つの山を持っているのですが、どの山で育てたみかんも均等な味が出せるように、それぞれの畑の土壌整備にとにかく力を入れてきました。」

宮本さん「みかんは袋とか箱とかで複数個入ったものを買っていただくことが多いのですが、『このみかんは甘い』とか、『このみかんは酸っぱい』とか、同じ日に買ったものでも味のバラつきを感じることがあると思います。そのバラつきを限りなくなくしたい、というのが今回特に意識したポイントです。全国どこの店舗で買っても、トライアルファームのみかんは美味しいと思ってもらえる状態を目指しました。」

■互いの強みを最大限活かせる開発環境

宮本さん「今回のみかん「とことん土にこだわって作ったみかん」を開発するまで、およそ2年弱の時間を要しています。その多くは土の分析と改良に費やしてきました。丸山さんのご協力のおかげで、今の土壌に何の栄養が足りなくて、何が効果的かというのを細かく分析することができたのは本当に助かりましたし、自分にとって大きな学びになりました。みかん農家として培ってきたノウハウに、適切な分析を掛け合わせることで、これまで以上に美味しいみかんを提供できるのは1人の農家として大変嬉しく思います。」

丸山「土壌の改善はみかんのシーズンである9月~11月以外の間、常に取り組んでいました。シーズン中も終わり次第すぐに分析を再開できるように体制は整えたりしていたので、それも含めるとこの2年はずっと土と向き合っていましたね。宮本さんは宮将農園の7代目ですが、先代も含めて関係者みんなで議論しながら土の均質化に努めて様々な角度から徹底して分析を重ねることができたので、異なる視点を上手く改良に活かせたかと思います。」

後編へ続く