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#リテールAI

生成AIは小売をどう変えるか? トライアル流 新しいテクノロジーとの向き合い方(前編)

トライアルグループ広報
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トライアルグループの広報チーム

飛ぶ鳥を落とす勢いで進化する生成AI。2022年11月にOpenAI社のChatGPTが一般公開されてから急速に盛り上がりを見せ、1年以上経った今でも話題は尽きない。業界問わず全世界で注目されているが、「自分たちの事業にどう取り入れるか」「すごいテクノロジーなのはわかるがまだピンときていない」など具体的なイメージがわかないという声も少なくないのではないだろうか。


生成AIの活用についてはトライアルでももちろん議論に上がっており、目下研究を進めているところだ。まだまだ途上ではあるが、リテールDXを促進してきたトライアルの取り組みや向き合い方について、株式会社トライアルホールディングス取締役CDO兼株式会社Retail AI 代表取締役CEOである永田洋幸が一冊の本にまとめた。この度出版となった「生成AIは小売をどう変えるか?」を元に、業界でどのような活用を見込んでいるかを見ていく。

 


第1章:生存戦略としての「リテールDX」

テクノロジーの話をする前に、そもそも流通業界は今どのような状態なのか。

キーワードとなるのはやはり「第四次産業革命」だろう。第三次産業革命以降、IoTやAIの技術が急速に拡大していくとともに、各業界で大きな変化があった。

小売業を例にあげると、ただ店頭に商品を並べれば売れるというフェーズではなくなった。消費者の心をつかむ様々な商品・サービスが世の中にあふれ、買い物の手法もニーズも多様化する中で、どうやって自分たちを選んでもらうか。

その肝になるのが「顧客データ」だ。顧客行動を理解しマーケティング戦略に活かすというのは今や当たり前にも聞こえるが、実践し、さらに成果を出すには一筋縄ではいかない。

また労働人口の減少というのも重要なトピックスだ。スーパーマーケットのように店舗を軸とした事業では特に大きな課題となってくる。トライアルでは以前から流通・小売における”ムダ・ムラ・ムリ”の削減を掲げており、店頭で採用している決済機能付きショッピングカート「スマートショッピングカート」の開発が代表的な例だ。



お客様自身で会計を行ってもらうことでレジ待ちの行列回避や店舗コストの削減に繋がる、「Frictionless(フリクションレス)」な購買体験を生み出すことに成功している。このような取り組みを重ね、自社を取り巻く課題に対して向き合ってきた。


第2章:新しいテクノロジーへの向き合い方

スマートショッピングカートの事例を語ったが、必ずしも全ての取り組みが成功するわけではない。むしろ失敗だらけで、失敗に恐れず挑戦してきた積み重ねが今日のトライアルを作り上げた。

AIやIoT以外にも様々なテクノロジーが世の中には溢れており、そのどれもが最初からとっつきやすいということはない。下記の図は、新しいテクノロジーが期待と不安の両方の側面を持っていることを表す「ハイプ・サイクル」という図である。多くの失敗は、黎明期から「過度の期待」のピーク期を超え、幻滅期へと移行する過程で発生する。

つまり、単に失敗したと受け止め幻滅期に落ち込むものと、地道な改善を重ねて啓発期を経て、生産性の安定期へと到達するものがあると言える。 

出典::https://www.gartner.co.jp/ja/research/methodologies/gartner-hype-cycle

トライアルでは幻滅期に落ち込んでしまった失敗を1つも無駄にすることなく、絶えず学び、成長し続けることができている。


実際に幻滅期へ落ち込んでしまったプロジェクトの例を1つ挙げる。

トライアルの店内には膨大な種類・数の商品が置かれているのだがAIカメラを使用して「棚の写真を撮ることで、その商品がどのメーカーの何というものかを解析できるシステム」を開発しようとしたことがあった。いざ費用を試算してみるとかなりのコストがかかることがわかり、現場のオペレーションとも上手く折り合わなそうなため、開発は中止という判断になった。ただこの結末も含めてトライアルとしてはポジティブに考えている。失敗の原因を正確に理解し、学びと成長の源泉に変えることで、常に前進し続けることができるからだ。

このプロジェクトを通して、カメラ活用ノウハウとさまざまな画像データが蓄積されたことで、最近では自動値下げシステムの開発などにAIカメラが活用されている。


後編へ続く