ミシュラン出身シェフの味を楽しめる 小売と外食のハイブリッド「グロッサリア」の看板メニュー
トライアルグループと福岡県宮若市が取り組む街づくり構想「リモートワークタウン ムスブ宮若」で展開されている施設には大きく2つの顔がある。スマートショッピングカートなどのデバイスや店舗でのマーケティング検証に取り組むリテールAI開発拠点のほかに、「食」「住」を軸に地域共生をはたらきかける場だ。
温泉旅館や料亭、フレンチレストランなど多様な施設が並ぶが、今回紹介するのはスーパーとレストランを掛け合わせた複合業態”グロッサリア”内にある「ミヤワカキッチン KOHAKU」。
ミシュラン星付きレストランにも在籍していたシェフが腕をふるっており、グルメアプリ「SARAH」が主催するSARAH JAPAN MENU AWARD 2023では2つ星を受賞した。本記事ではKOHAKUの魅力とこだわりに迫っていく。
“地産地消”を軸に、いつ来ても飽きさせないメニューづくりを
「グロッサリア」は、ただ食べるだけでなく、新たな食事シーンや食文化の創出につながる場を提供したいという思いから誕生した。食品を意味する「グロッサリー」とイタリアの大衆食堂「トラットリア」を組み合わせた造語で、トライアル独自の業態だ。小学校の体育館をリノベーションした空間というのもユニークなポイントである。
食品スーパーとしてのトライアルとは趣が異なり”食”に徹底してこだわっている。宮若をはじめとした九州地方で採れる豊かな食材に、国産にこだわった熟成肉や世界の希少で高価な食材を合わせ、ここでしか食べられないメニューを作り上げる。生麺を使ったパスタや米粉のピッツァはKOHAKUの定番人気商品だ。
統括シェフ・今西 洋平太は、福岡のフランス料理店で修業後に渡仏。約5年間、複数のミシュラン星付き高級フレンチレストランのセクション長として勤務した後、パリ屈指の高級精肉店HUGO DESNOYERに従事している。
ミヤワカキッチン KOHAKUは2022年4月のオープン以来、常に満席に近い状態だ。遠方から来るお客様はもちろんだが、地元の方も多く訪れるため、飽きさせないよう常にリニューアルや改善を重ねている。
試食会のフィードバックを2時間で反映!インパクト大のビジュアルで目も舌も楽しませる
この度受賞したSARAH JAPAN MENU AWARD 2023で選ばれた「自家製ベーコンと丸ごとトマトのパスタ」は、なんといっても迫力ある大きなトマトとベーコンが特徴だ。
元々グロッサリアで出しているメニューはパスタを中心とする洋食が多く、定期的に通常メニューの見直しも行っている中で、トマト系パスタの試作をしていたのが発端である。当時の試作品を試食会(参照:トライアルを支える食のプロフェッショナル集団・明治屋 後編)で社長に出したところ「もっとインパクトが欲しい」と言われたのをきっかけにシェフに火がつき、なんと2時間後には再プレゼンを実施。そしてメニュー化に至ったのだ。開発背景やこだわりについて、実際に開発を担当した今西に聞いてみた。
今西「このパスタには2種類のトマトソースを合わせています。麺には甘味やうまみを凝縮したソースを絡め、くりぬいたトマトの中にはフレッシュ感を生かしたみずみずしいソースを詰めました。異なる味わいのコントラストを楽しめるパスタになっていると思います。」
「またベーコンは阿蘇の自然豚を使用しているのですが、肉質が安定しているかのチェックは常に怠らないようにしています。熟成期間も通常より長くとっており、一般的なベーコンはだいたい3日程度の熟成が多いのですが、KOHAKUでお出ししている自家製ベーコンは塩漬けをしたのちに2週間かけてじっくりと熟成するので肉の旨みが凝縮されるのが特徴です。お客様にお出しするベストなタイミングは肉の状態によって微妙に異なるので、フランスの精肉店での勤務経験を活かし、細かな見極めを日々行っています。」
KOHAKUでは宮若市名産の地黄卵や宮若米を使用したオムライスなども好評だ。近隣のゴルフ場でも提供されており、プレーの合間に本格派の食事を楽しめる。
今後はKOHAKUの強みである熟成肉を生かしたメニューを拡充する構想もあり、まだまだ目が離せない。